★WINTER WONDERLAND★
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London 1995-1996
1996年03月31日 (日) * 編集
1995年3月から1996年3月までの間、仕事の都合でロンドンに住むことになりました。

たくさんの貴重な体験をすることができ、そのひとつひとつがその後の自分に大きく影響を与えています。そんな英国生活の思い出を、音楽面を中心に日記形式で書きつづってみました。その後事情が変わったものも含め、当時のままの文章をできるだけ残してあります。

どうぞお楽しみください。
記事の一覧は次のとおりです。
Cheers and goodbye, London!
1996年03月08日 (金) * 編集
1995年の年明け早々、上司から突然言い渡された英国支社勤務。1年間のトレイニー駐在なんて長いなぁと思っていましたが、終わってみると本当にあっという間でした。

この London Calling で記事にした以外にも、いろいろな出来事がありました。毎日触れるものすべてが新鮮で、飽きるということなどありませんでした。威厳のある古い建物が醸し出す雰囲気は、見た目だけでなく人々の心にも深く浸透しています。日常のちょっとしたところに現れる親切心や優しい気遣いは、この国の懐の広さを表すものといえるでしょう。

もちろん失業問題や人種問題を抱えた国です(私自身、極東の島国から来た1人の黄色人種、という扱いです。これは経験しないと分かりにくいと思いますが…)し、決して明るい話題ばかりではありません。

しかし、ここには音楽があります。
英国生活最後のライヴ… Tori Amos @ Royal Albert Hall
1996年03月06日 (水) * 編集
今日が、ロンドンで暮らす1年間の最後の夜になります。

僕の住んだフィンチリーの街ともお別れ。小さいけれど、静かで緑が多くて、とってもお気に入りのフラットでした。今夜宿泊するサウス・ケンジントンやナイツブリッジの街並みも、これで見納めです。

そんな僕の感傷をよそに、ロンドンの時間は何百年も続けてきたのと変わることなく、ちょっとばかりのんびりしたペースで淡々と流れていきます。引っ越しの荷物を送り出すと、ほっと一息つく暇もなく、小雨が降る中ロイヤル・アルバート・ホールに向かったのでした。

トーリ・エイモスの "Dew Drop Inn UK Tour 1996" は全英縦断の大規模なものになりました。待望のホールツアーで、2晩がブッキングされたここロイヤル・アルバート・ホールもぎっしりソールドアウト。昨年来ここで観た何本ものライヴが頭をよぎります。

真紅を基調にした豪華な内装の会場に流れるBGMは、"Since I've Been Loving You" や "Gallows Pole" といったレッド・ツェッペリンの楽曲たち。ロバート・プラントのミーハーだったというトーリらしい選曲です。周りには日本人が一人もいません。ブラーでもレディオヘッドでもパルプでも日本人がたくさん来ていたのに、この違いは対照的。

…なんてことを考えている間にゆっくりと照明が落ちて、トーリ登場です。白のタンクトップにブラウンのパンツ、赤髪は後ろにまとめて。
英国ロック今昔物語(Nick Heyward / Black Grape / Julian Cope)
1996年02月10日 (土) * 編集
1996年1月末から2月にかけて、1週間にライヴを3本も観てしまいました。そこには80年代を駆け抜けてきた男たちの熱いドラマがあった…のか、なかったのかも含めて簡単にレビューしたいと思います。(実はこのほかに Maria McKee も買ってあったのですが、さすがにダウンして観に行けませんでした。ロンドン在住中の後悔の一つです)

まずは Nick Heyward。多少お腹は出ていましたが、英国ポップの貴公子は健在でした。全然飾らない佇まいで好感度高いです。会場はカムデン・ロックのマーケットの真ん中にある小さなクラブで、キャパは300人くらいです。実にアットホームな雰囲気。

前座の Giant Killers というバンドの出音からして、Nick Heyward の初期を思わせる爽やかポップ系。オマージュなんだろうなぁとニヤニヤさせてくれます。

Nick はといえば、オープニングからヒット曲 "Rollerblade" で飛ばすなど元気一杯でした。基本的には最新作 "Tangled" の楽曲で固めて、間に "Blue Hat for A Blue Day" など昔の曲を織り交ぜるセットリスト。ただ、アレンジは全部 "Tangled" 風の元気印ロックになってしまってましたが…。

それでもアルバム『風のミラクル』からの曲にはぐっとくるものがありますし、バックバンドのタイトな演奏も良かったです。特にコーラスを3度上でハモりまくるドラマーは素晴らしかった。"The World" なんかもばっちり決まってました。ベーシストは身長といい髪型といいスティングそっくり。

「僕の大好きな曲なんだ」と紹介した "London" や、アンコールで Haircut 100 の楽曲も演奏した後の2度目のアンコールを再度 "Rollerblade" で締めるなど、いろいろと印象に残る選曲でした。お客さんたちも終わった後に会場の外でみんな "Rollerblade your life away~♪" と口ずさんでましたねー。

そういえば私は後ろの方で立って眺めていたのですが、最前列に陣取っていたのはやはりというべきか、日本人の元お姉さんたちだったのでした。熱心なファンが多くて羨ましいことです。
新時代の幕開けか? Skunk Anansie @ Astoria
1996年01月26日 (金) * 編集
前夜の Bjork に引き続いて今夜も凍えるほど寒いロンドンですが、Skunk Anansie のライヴとあれば観ないわけにはいきません。会場は渋谷公会堂クラスの Astoria、まずはソールドアウトのチケットをダフ屋と戦って10ポンド(約1,700円)で買い叩きます。

暗い場内は既に熱気でムンムン。BGMには意表をついて Pulp の ”Common People" なんてのが流れています。客層は割と若者が多いかな。ちなみに圧倒的にホワイトです。客電が落ち、場内のBGMが Oasis の ”Live Forever" に切り替わりました。Britpop のハシリとなったこの曲をみんなで歌っている間に、ローディたちが暗いステージ上にダッチワイフ状の人形を4体セッティングしたり、謎の演出。

そして拍手と歓声に迎えられてメンバー登場! ヴォーカルの Skin は青っぽい銀ラメのジャケットと黒のレザーパンツに細い身体を包み、精悍な目つきで場内を舐めるように見回します。早くも異様な雰囲気。
Bjork @ Wembley Arena
1996年01月25日 (木) * 編集
いくら氷の国アイスランドから Bjork が来るからといって、ロンドンまで冷やさなくたっていいじゃない…。1月25日、体感温度が氷点下まで下がり、粉雪が舞うウェンブリー・アリーナにて彼女のライヴを観てきました。

今回のUK公演は大アリーナツアー。彼女独特のダンスグルーヴをクラブから大きなハコに持ってこれるかどうかが見ものです。ちなみにいわゆるアリーナ席部分はスタンディングでダンスフロア状態。椅子席までぎっしり1万人以上埋まって午後9時半の Bjork の開演を待ちます。ちなみに前座は Goldie ほか。なんとまた贅沢な。

客電落ちと同時にアリーナが狂ったような大歓声を上げます。シンセサイザーのイントロと Bjork の第一声には悲鳴も混じります。おっと、オープニングは意表を突いた ”Headphones" だ! 彼女が赤ちゃんのように発する母音のひとつひとつが、じわりじわりとアリーナを大きな子宮に変えていきます。赤・紫・緑の幻想的なライティング。背景では赤いライトが星のように明滅。

続く ”Army of Me" の凄まじい重低音に誰もが度肝を抜かれます。この会場はPAシステムが天井から吊られているので、会場のどこからでもステージがよく見えるばかりでなく、サウンドも非常にクリア。特に今日は低音が脳天からつま先まで突き抜けるようによく響いています。
Tori Amos 新作 "BOYS FOR PELE"
1996年01月22日 (月) * 編集
女性ヴォーカリストファンの皆様お待たせしました。今年最高最大の話題作の1つ、Tori Amos の3作目 ”BOYS FOR PELE" がリリースされました。簡単にレビューしましょう。

以前先行シングルが出た際にも少し話題にしたジャケットですが、アルバムも衝撃的なアートワークに仕上がっています。表ジャケでは古い民家の軒先でロッキングチェアに腰掛ける Tori。大胆にきれいな左脚を晒して投げ出し、腕にはライフル銃を構えています。

背後には鶏が足を縛られて逆さに吊るされ、泥だらけの右足元には大きな蛇が這っています。「銃」が男性のメタファーであったり、「蛇」がイヴをそそのかした諸悪の根源であったりと、いくらでも深読みできそうなアートワークですね。

ブックレット内部には、胸をはだけた Tori が子豚に乳房を含ませながら窓の外に目をやるという衝撃的な場面もあります。また、グランドピアノを燃やしているシーンは、アルバムタイトルにある ”Pele" のイメージなのでしょうか。火山の女神だという話なのですが…。
元気一杯! UK若手バンド一覧ライヴ(Placebo / Mansun / China Drum / Cast)
1996年01月18日 (木) * 編集
1月18日、Astoria にて Cast その他都合4バンド出演の NME Brat Awards という企画ライヴを観てきました。英国音楽業界の Brit Awards に対抗してNME誌が独自に設けた Brat Awards のノミネート組のパッケージツアーです。ある意味今後のイギリスのロック界を占う催しとも言えますね。

1番手は Placebo。
聴く限りごく平凡なギター、ベース、ドラムスのトリオ編成のバンドで、特に引っかかるものもなく、今後の修行を期待したいところです。

2番手は Mansun。
これはかなりイケます。やや東洋風味の入ったメロディラインを、芯の太いヴォーカリストが歌いこなす本格派バンド。帽子をかぶったファッションもお洒落で目立っています。

キーボードというかDJ役のメンバーがいて、どの曲もイントロはまず彼がリズムパターンを鳴らし、それに合わせて生ドラマーが叩き出すという展開も斬新。ポルタメントがかかったヴォーカルが妙に耳に残る。このあたりからオーディエンスもヒートアップして、ステージダイヴその他暴れ始めます。
Simply Red @ Wembley Arena
1996年01月13日 (土) * 編集
今の英国ポップ音楽シーンの頂点はどこにあるかと尋ねられれば、Oasis や Pulp に代表されるブリットポップ勢を挙げる方も多いと思うのですが、それはあくまでも若者に限った話。オーディエンスの層としては厚くない、表層での盛り上がりにすぎません。事実、Supergrass やRadiohead といったクラスのバンドのアルバムセールスは30万枚前後に留まります。

もちろんそれも大健闘ではありますが、狭いイギリスで例えば100万枚を超える大ベストセラーを放つためには、一定の層に限定されず、幅広い年齢・階級(そう、ここは階級社会なのです)からの支持を取り付ける必要があります。

そんな化け物じみた売り上げを着実に達成できるバンドの代表格が、この Simply Red でしょう。前作 "Stars" が前代未聞の2年連続年間アルバムチャート1位に輝いた時点で、「英国を代表する」という枕詞をつけて語られることも多くなった彼ら。新作 "Life" は前作ほど爆発的に売れているわけではありませんが、発売後もセールスに陰りを見せることはなく、何よりこのツアーでの圧倒的なチケット売り上げこそが国民的バンドの証しでしょう。

…おっと、前置きが長くなっちゃいましたが、1月13日にロンドンはウェンブリー・アリーナで行われた Simply Red "LIFE" ツアーの模様をお知らせしましょう。
軽いくしゃみを… Tori Amos 新曲!
1996年01月05日 (金) * 編集
皆さん明けましておめでとうございます。早速ですが、前作 ”Under The Pink”(全英初登場1位)から2年、Tori Amos 待望の新曲 ”Caught a Lite Sneeze” がついにリリースされました。

発売前から広告などで見かけていたアートワークは、Tori とは長い付き合いになる Cindy Palmano の手によるもの。牛が悠然と歩く平原を背景に、汚れたベッドに両手両膝をついてうつむく Tori の姿。何を表現しようとしているのか、強く印象に残る写真です。

さて音の方はといえば、一聴して耳につくのはハープシコード風の音使い。これまで徹底してピアノにこだわってきた彼女が、思い切ってイメージ転換を図ったものですが、タイトル曲の重いリズムのイントロで効果的に導入されています。

Tori Amos 自身のスタイルはかなり完成しつつあると思いますが、相変わらず聴き手の期待を裏切る形で非商業的なメロディを紡ぎ出していく様が刺激的です。切ない吐息(というか息継ぎ)もすっかりヴォーカルの一部として曲に溶け込んでいます。

2曲目以降は ”SILLY SONGS" と名付けられたアルバム未収録3曲ですが、こちらではピアノと戯れながらリラックスした表情の Tori が歌を口ずさんでくれます。どれもあっという間に終わる小曲ですが、特に4曲目の ”Toodles Mr. Jim" でのヴォーカルとピアノの絡み具合は絶妙で、これはアルバムがますます楽しみになってきました。

Kate Bush 以降では最も重要な女性シンガーの一人だけに、今月末のアルバムリリース後に開始するワールドツアーではいったいどんな音世界を聴かせてくれるのか、今から興味は尽きません。